今回は、外来診療で気づいたことを、豆知識として2-3書いてみます。
- 扁桃肥大:耳鼻科、内科を受診したときに、口腔を見て“扁桃腺(口蓋扁桃)が大きいね”といわれることがあります。口蓋扁桃が大きいと病気と思われるお母さん方が見えますが、病気ではありません。口蓋扁桃は全身のリンパ組織の1部です。リンパ線組織は4-5歳が大きさのピークでその後徐々に縮小します。成人では口蓋扁桃はありません。自然に小さくなるので多くの場合摘出する必要はありません。
また、4-5歳でリンパ組織が最も大きい年齢の子が、頭部や頸部に丸いものが触れる
とか、腫れていると言って受診されます。これもリンパ腺組織の発達の年齢変化です。
数個のリンパ腺が固まって、皮下組織に癒着している場合は、腫瘍の可能性もありますが、単独で可動性であれば単なるリンパ腺組織です。
- 眼脂:鼻水が出たり、風邪をひいたりすると眼脂が出ます。もちろん急性結膜炎を合併していることもありますが、鼻に炎症が起きると、眼と鼻をつないでいる鼻涙管が細くなって、涙が上手に鼻に流れないとき涙がたまって、眼脂になります。
日頃、子どもの下眼瞼を見て、充血度(赤み)を見て覚えておくと結膜炎が起こっているのか、鼻涙管の問題なのか見分けがつきます。充血が強い時は結膜炎と診断します。充血がなければ鼻涙管の問題と判断します。“あっかんべー“する要領で目の下を下に引っ張れば見られます。結膜炎では点眼薬を処方します。鼻涙管の問題であれば様子見でいいと思います。
3)2-3か月の赤ちゃんの頸部、肘関節、膝窩部の発赤など
出生後2-3か月の赤ちゃんで頸部の皮膚が重なった部分の赤い皮膚炎、いつも手足を屈曲しているので、肘関節、膝窩部(膝の裏側)に頸部同様の発赤がしばしば出ます。これは皮膚が発汗し、風通しが悪いので汗による接触性皮膚炎が起こっています。これの対処方は、時間があれば1日数回水で洗って、風通しを良くすることが最も有効な方法です。薬を塗る方法もありますが、原因になっていることを除くのが1番です。
同じようなことは風邪で鼻水がいっぱい出て、鼻の下が発赤します。鼻水による接触性皮膚炎です。1日数回、鼻の下を水洗いするのがいいです。1度試みてください。