診察のご予約はこちらから

トピックス TOPICS

新型コロナウイルス感染症の現状と5類感染症

2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症は、感染症法上、2類感染症から5類感染症に変更されました。以後新型コロナウイルスの名前は、マスコミから消えたように見えます。しかし、現在も新型コロナウイルス感染症はしっかりと日本に定着し、2025年3月の段階では、定点あたり5-7を維持しています。この数字は1つの決められた医療機関(定点)で1週間に5人から7人の新型コロナウイルス感染症の患者さんを診察していることなります。季節性インフルエンザウイルスが定点あたり1-2(2025年3月)と比べると3-5倍の感染者がいることになります。インフルエンザが2024年12月をピーク(定点あたり80)として年明けからは徐々に減少し現在に至っていますが新型コロナウイルスは安定して定点あたり5-7を維持し、すっかり日本で、おそらく世界でも風邪ウイルスとして一定の位置を確保していると思われます。世界保健機構(WHO)の報告では(2024年11月11日から12月8日までの約1か月間)、世界で19万人の新型コロナウイルス感染者が出て、2000人の患者さんが死亡しているとの報告がありました。世界でも感染が持続していることを示しています。

最近の新型コロナウイルス感染症の重症度、症状について、東京の内科クリニックのデーターがありましたが、咽頭痛、咳と痰の症状が70%以上でみられ、発熱が60%台、次に鼻水、頭痛と続きます。流行が始まった当初は味覚・嗅覚障害が新型コロナウイルスの特徴のように言われましたが、最近はこのような症状はほとんどないと報告されています。重症度は軽症となり、小児では治療薬は無く、普通の風邪と同様対症療法のみです。特定の治療法がない疾患を1人1人検査して診断する価値があるかは疑問ですが、5類感染症になった今も、新型コロナウイルス感染後は、5日間の外出、登校を控えるよう推奨されています。これを守ろうとすれば診断が必要になります。

5類感染症に移行時、当時の厚生労働大臣の加藤勝信氏の公式文章には次のような記述があります。“また、外出を控えるかどうかは、ウイルスの排出期間や外出を控えることが推奨される期間(発症後5日間)を参考に、個人で判断いただくことになります”と記されています。国は強制しませんが、個人の考えで行動してくださいということになります。

日本人はきっとこのルールを守って行動すると思われます。会社で仕事をしている方も、会社側もきっとこのルールを守ったほうが、長い目で見たとき、利益につながると思われます。もう1つは新型コロナウイルスが今後どのように変異し、急に病原性が増すことも考えられます。前記の厚労省の文章にも、変異株の怖さが書かれています。このような変異が起これば直ちに対応を見直すと記されています。

2類感染症は国が管理し、5類感染症は国民1人1人が判断することになります。