秋は咳の多い季節です。気管支が弱い、気管支が過敏、または気管支喘息と診断されている方は、気温の急激な低下や、日中と夜間の気温差が大きい今の気候は苦手です。この気温の変化が、過敏な気管支を刺激して咳の引き金になります。これは風邪ではなく、熱は出ませんが鼻水は咳に先行することがおおく、しばしば風邪と混同されます。
冷たい空気を吸い込むと、気管支が反応して気道が狭くなります。加えて気管支粘膜から痰が分泌され、さらに空気の流れが妨げられます。これが喘鳴(呼吸音がゼーゼー、ヒューヒューする)や呼吸が苦しい原因です。風邪は熱が高いと、元気がなくなりしんどいのですが、呼吸が苦しいことはありません。咳も痰が伴うとこは少ないです。
喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー音)は一見、のどから出ているように見えますが、実は気管支からの雑音です。気管支の音がのどを経由して出てくるため、喉頭部(のど)に鼻水が降りて、雑音を発しているように思われがちですが、本当は気管支が細くなり、痰が気道を狭くしていることによって起こる雑音です。そのため、気管支の反応が強いときは、呼吸困難を伴います。これが不眠の原因になります。咳が出ているときだけが苦しいのではなく、通常の呼吸の時も空気の流れが悪く苦しいと感じます。
耳鼻科で鼻水を吸引するために受診したと言われることがありますが、鼻水が喉頭部にたまって、咳の原意なることはありません。鼻水は食道から胃へ飲み込むことで上手に処理されています。痰は鼻水とは全く別物で、気管支からの分泌物です。
痰が伴う咳で受診されたお母さん方に、夜は寝られましたか?と質問すると、鼻が詰まって寝にくかったとの返事がよくあります。確かに鼻が詰まると寝にくいのですが、鼻が詰まっていれば口から空気を吸い込めば十分に呼吸ができるので、不眠の原因は鼻がつまっていること原因ではなく、呼吸しにくいことが原因ではないかと考えています。
今回はもう1つ、気管支が弱いあるいは過敏と言われた小児、また気管支喘息と診断された小児の予後について書いて見ます。予後とは難しい言葉ですが、このような体質を持った子どもたちが将来どのようになるかと言うことです。
気管支喘息は70%が小児期に軽快すると言われています。しかし、気管支の質は成人になっても続くようです。小児期に気管支喘息と診断されたお父さんやお母さんが、子供を連れて受診されますが、現在の様子を聞くと、成人後も咳が多いタイプと言われることがあります。おそらく一生気管支の過敏性を持って生活して行くことになるようです。
気管支が弱い。過敏と言われた小児も多くは年齢とともに気管支の過敏性は弱まり、咳の頻度、咳の重症度は減少します。