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風邪薬

発熱のみで、咳や鼻水、下痢・嘔吐が無い患者さんに、今日は解熱剤を出しますとお話しすると、“風邪薬はいらないですか?”との質問が時にあります。“風邪薬“と言う種類の薬はありません。咳と鼻があれば、呼吸器系の薬。下痢や嘔吐があれお腹の薬、熱や頭痛には鎮痛解熱剤を処方します。このような薬が、いわゆる”風邪薬“と言われています。

 

市販の風邪薬には、6種類ぐらいの薬が入っていますが、咳の薬(中枢性に咳を抑制するタイプと痰を除き、咳を鎮めるタイプの2種類)、中枢性興奮剤のカフェイン(倦怠感に効果)、鼻水止めに抗ヒスタミン剤、もう1つはアセトアミノフェン(これは多くの医療機関で最も多く使われています)などの鎮痛解熱剤です。

 

市販の風邪薬の評価ですが、小児科医としては、できれば避けてほしいと思っています。

小児の咳は痰が伴う咳が多く、気管支の咳ですが、中枢性に(咳中枢を抑制して)咳を止めるのはよくないと言われています。咳自体が、大切な働きをしています。気管支に分泌された痰を自分の力で排除する役割です。気管支は痰と時に気管支の収縮(気管支の周囲の筋が収縮して細くなること)により、気道が狭くなり、空気の出入りが悪くなって呼吸が苦しくなります。従って、痰の伴う咳は、咳を止めることより、咳によって痰を出すことの方が大切になります。

痰の伴う咳に、ホクナリンテープ(胸や背中に貼る薬)を使いますが、これは気管支拡張剤です。気管支を広げ痰が出やすくし、空気の流れをよくします。アスベリン散、カルボシステインも処方しますが、これらも去痰作用や痰が切れやすくする目的です。いずれも咳を止める薬ではありません。痰を気管支から排除して、呼吸を楽にすることを目指します。

もう1つ付け加えますと、下痢で処方している薬は、下痢止めではありません。整腸剤となっています。止痢剤は、使わない方向です。下痢は出した方がいいとの考えです。

咳や下痢などの症状を抑えることより、生態の自然の反応を生かすことが大切との判断と思われます。